花嫁の手紙は、披露宴において最も感動的な演出のひとつです。両親やゲストの涙を誘い、特別な時間をよりいっそう印象的にしめくくってくれます。
普段は言葉にしきれない両親への感謝の気持ち・・・披露宴という特別な場だからこそ、思い切って伝えられるものです。花嫁の手紙は、花嫁さんとご両親にとって、またとない貴重な機会となるでしょう。
花嫁の手紙を成功させるためには、なんと言っても「事前準備」が重要です。余裕をもって手紙を書き上げ、朗読の練習をしておくことが大切です。
しかし、花嫁の手紙はいざ書こうと思っても難しく感じるものです。結婚式が近づいているのに、なかなか筆が進まない・・・そんな花嫁さんも多いのではないでしょうか。
また、人前で手紙を朗読するという経験は初めての方がほとんど。どんな風に朗読すればいいのか、悩んでしまいますよね。
今回は、花嫁の手紙の書き方と朗読のポイントをご紹介します。花嫁さんの想いがご両親に伝わるよう、ぜひ参考にしてみてください。
花嫁の手紙【基本の書き方】の構成を知ろう
花嫁の手紙は基本の書き方さえ知っておけば、決して難しくありません。これからご紹介する3つのパートで構成すれば、完成度の高い花嫁の手紙を書くことができます。
基本の構成をもとに自分の想いを綴ることで、披露宴という場にふさわしい礼儀作法を押さえつつ、感動的な手紙を書くことができます。
花嫁の手紙の構成①書き出しは少しかしこまった始まりで
花嫁の手紙は、演出としてプライベートな手紙を参列者の前で披露するものになります。
そのため通常の手紙とは違い、参列者への配慮が必要になります。
その上で両親に呼びかけるように手紙の内容に入っていきましょう。
書き出しは少しかしこまった文体で、参列者へのお礼の気持ちと、手紙を読むことへの断りを伝えると丁寧です。
花嫁の手紙の書き出しの例文
みなさま、本日はご多用の中、私たち二人の結婚披露宴にご列席いただき、誠にありがとうございます。私事ではございますが、この場をお借りして、両親への手紙を読ませていただきます。
お父さん、お母さん、今日までの○○年間、私を育ててくれたこと、心から感謝しています。○○(新郎)さんと出会えたのも、無事にこの日を迎えられたのも、お父さんとお母さんのおかげです。今日は、お父さんとお母さんに、手紙を書いてきました。2人に手紙を書くのは久しぶりで、緊張していますが、ぜひ聞いてください。
花嫁の手紙の構成②両親とのエピソードを綴ろう
花嫁の手紙の中でメインとなるのが、両親とのエピソードです。自分らしく両親との絆を表現できるため、最も重要なパートと言えます。
花嫁の手紙に綴るエピソードは、両親の尊敬しているところや、両親から影響を受けたことを軸に選ぶといいでしょう。両親との思い出よりも、父親と母親それぞれとの思い出を綴る方が、個別に想いが伝わりますよ。
エピソードは、淡々と出来事だけを書くのではなく、当時の気持ちや今振り返って感じていることを加えることが大切です。エピソードに想いを乗せることで、両親への感謝の気持ちが伝わります。
書き出しとは少し雰囲気を変えて、飾らない自分の言葉で、出来るだけ具体的に書くことを意識しましょう。両親と花嫁の関係性がイメージでき、参列者の共感につながります。
花嫁の手紙のエピソードの例文
お父さん、週末になるとバイクでいろんな場所へ連れて行ってくれましたね。仕事で平日はあまり会えなかった分、お父さんと遊べる週末が楽しみで仕方ありませんでした。
バイクの後ろでお父さんにつかまっている間、大好きなお父さんを一人占めしている気分で、とても嬉しかったのを覚えています。
お父さんが連れて行ってくれた、たくさんの新しい場所。そこでの経験は、私の宝物です。
お父さんのおかげで、新しい環境にも楽しんでチャレンジできるようになりました。内気だった私が海外留学に挑戦できたのも、お父さんのおかげです。
これからも、運転には気をつけて、趣味のツーリングを楽しんでください。
お母さん、お母さんはいつも私の一番の味方でいてくれましたね。私の表情の変化にすぐ気づき、「何かあった?」と声をかけてくれました。
そんなお母さんに甘えて、いつもお母さんに相談していました。お母さんは、私の話を静かに聞いて、最後にはそっと私の背中を押してくれましたね。
就職活動がうまくいかず、もう辞めたいと思ったとき、お母さんに涙しながら話を聞いてもらったことがありました。お母さんに話を聞いてもらったら、気持ちの整理がつき、また頑張ろうと思えました。そのおかげで、今の職場に巡り会えることができて、本当に感謝しています。
これからは私が、○○(新郎)さんにとってお母さんのような良き相談相手になりたいと思います。そしてこれからも、困ったことがあったら、お母さんに相談させてください。
花嫁の手紙の構成③手紙の結びは両親への感謝と義両親への挨拶
花嫁の手紙の結びは、両親への感謝の気持ちと、義両親へのご挨拶で締めくくります。両親とのエピソードから、自然な流れで改めて両親への感謝の気持ちを伝えましょう。
続いて、これから新たに家族となる義両親にも、ご挨拶のメッセージをまとめます。ここでも、型にはまった言葉ではなく、自分の言葉で想いを伝えることが大切です。
最後に、参列者に向けて抱負とお礼を述べることで、披露宴にふさわしい手紙になります。
花嫁の手紙の結びの例文
お父さん、お母さん、これまでたくさんの愛情を注いでくれて、本当にありがとう。私は世界一の幸せ者です。
これからは、お父さんとお母さんに、これまでの恩返しをさせてください。そのためにも、いつまでも健康でいてくださいね。
そして、○○(新郎)さんのお父さん、お母さん。初めてご挨拶に伺った日、緊張する私を暖かく迎えて下さったこと、とても嬉しかったです。いつも本当の娘のように接してくだり、ありがとうございます。
まだ至らない点もあるかと思いますが、精一杯頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
結びに、本日お集まりいただきました皆さま、改めてこのようなお時間をいただき、ありがとうございました。
今日から二人で、皆さまにも安心していただけるような幸せな家庭を築いていきます。これからも暖かく見守っていただければ幸いです。
花嫁の手紙を書くときの気を付けるポイント
ここまでにご紹介した基本の構成を参考にすれば、花嫁の手紙の骨格は完成です。
さらに完成度を高めるには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。ここから、気をつけたいポイントについてご紹介していきます。
花嫁の手紙のポイント①披露宴の3日前には書き上げよう
花嫁の手紙は、時間にゆとりをもって書き上げましょう。披露宴前の数日間は、最後の確認事項や直前準備など、想像以上に忙しいものです。
余裕をもって披露宴の3日前に完成させておけば、朗読の練習をする時間も確保できます。
準備不足で後悔することがないよう、ぜひ早めの準備を心掛けてください。
花嫁の手紙のポイント②800文字前後で収まる手紙にしよう
花嫁の手紙は、800文字前後で収まるようにまとめましょう。800文字前後の手紙を朗読すると、所要時間は3分程度。これが、花嫁の手紙の理想的な長さと言われています。
短すぎると素っ気ない印象になってしまいます。逆に、想いが溢れて長くなりすぎると、間延びしてしまいゲストが退屈してしまうことも。
短すぎず、長すぎず、適切な長さになるよう調整しましょう。
手紙を書く時には、簡単に文字数をカウントできるよう、パソコンやスマホのアプリで下書きすることをおすすめします。文章が完成し800文字前後にまとまってから、清書を行うようにしましょう。
花嫁の手紙のポイント③参列者にも配慮した内容にしよう
花嫁の手紙は両親に感謝の気持ちを伝えるものですが、参列者にも配慮することが大切です。
披露宴は本来、新郎新婦が参列者に感謝の気持ちを伝える場です。そのような場で主催者側の両親に宛てた手紙を読むのは失礼にあたる、という考え方もあるからです。
特に、仕事関係の参列者が多いオフィシャルな披露宴では、参列者への配慮は不可欠です。花嫁の手紙の冒頭で手紙を読むことへの断りを入れ、結びで聞いて下さったことへのお礼を伝えると丁寧です。
花嫁の手紙のポイント④NGな言葉が入っていないかチェックしよう
普段何気なく使う言葉の中には、ハレの日にふさわしくないものもあります。結婚式など特定の場面で使用を避けるべき言葉は、「忌み言葉」と呼ばれます。
知らずに使ってしまうと、おめでたい場に水を差すことにもなりかねません。幅広い年代や様々な価値観の参列者がおられる披露宴では、使用を控えるのがマナーです。
ここからは、花嫁の手紙では避けたい忌み言葉をご紹介します。縁起の悪い言葉を使っていないか、清書の前に必ずチェックしておきましょう。忌み言葉が見つかったら、ポジティブな言葉に変換すれば大丈夫です。
花嫁の手紙でNGな言葉|別れを連想させる言葉
忙しい(漢字に縁起の悪い「亡」の字が含まれるため)、壊れる、去る、終わる、別れる、離婚、離縁、離れる、切れる、帰る、嫌い、冷める、冷える、破れる、消える、捨てる、割れる、飽きる
花嫁の手紙での言い換え例
・お忙しい中→ご多用の中
・壊れた→変化した
・去年→昨年
・終わる→お開きにする
花嫁の手紙でNGな言葉|不幸を連想させる言葉
泣く、負ける、辛い、流れる、終わる、病む、病気、哀れ、痛い、倒れる、悲しみ、滅びる、割れる、壊れる、薄い、降りる、消える、捨てる、去る
花嫁の手紙での言い換え例
・泣く→涙する
・負けた→勝てなかった
・辛かったとき→頑張ったとき
・時間の流れ→時間の経過
花嫁の手紙でNGな言葉|繰り返しを連想させる言葉
いろいろ、なかなか、またまた、わざわざ、ますます、しばしば、たまたま、いよいよ、なおまた、くれぐれも、度々、次々、重々、再々、延々、重ね重ね、再三、再度、繰り返し、二度、二回、皆々様、戻る
花嫁の手紙での言い換え例
・いろいろ→たくさん
・重々→深く
・また→改めて
・再び→今一度
花嫁の手紙のマナーとは?
花嫁の手紙には、内容以外にも気をつけたいマナーがあります。おめでたい場にふさわしい手紙になるよう、ぜひ意識してみてください。
花嫁の手紙のマナー①上品なデザインのものを選ぼう
披露宴というシーンを考慮し、花嫁の手紙は上品な便箋に書くことをおすすめします。
ゲストの目に入ることを考えると、奇抜なデザインのものは選ばない方が無難です。
白を基調とした派手すぎないデザインのものであれば、披露宴の雰囲気にマッチします。披露宴のテーマやご両親のお好みを取り入れてもいいでしょう。
あくまでも、自分の好みだけで選ぶのではなく、シーンや渡す相手の目線で選ぶことが大切です。
花嫁の手紙のマナー②白い便箋を重ねて入れよう
花嫁の手紙が便箋1枚になった場合は、白い便箋をもう1枚重ねて封筒に入れましょう。
1枚だけの手紙は弔事に使われるため、慶事では複数枚に仕上げるのがマナーです。(弔事では不幸が「重なる」ことがないよう、1枚の便箋にまとめるのがマナーとなっています。)
また、花嫁の手紙では短い手紙は昔から失礼とされてきました。
白い便箋をもう1枚重ねて入れることで「本当はもっと書きたい」という気持ちを表す意味もあります。
花嫁の手紙が複数枚であっても、便箋を重ねた方がいい場合もあります。
花嫁の手紙が裏側から透けて見えることが心配な場合は、手紙が2枚以上あっても白い便箋を重ねておくと安心です。
朗読のときには照明があたり、通常よりも文字が透けやすくなっています。手紙の紙質などを考慮して判断しましょう。
花嫁が手紙を朗読するときのポイント
花嫁の手紙が完成したら、披露宴当日までに朗読の練習をしておきましょう。
目で読むと自然に思える文章でも、朗読してみると不自然なことがあります。
清書をする前に何度か口に出してみて、読みにくい箇所がないかチェックしておくと良いでしょう。必要に応じて、朗読しやすく修正してから清書にうつりましょう。
花嫁の手紙の朗読を練習するときには、スマホで録音することをおすすめします。
録音を聞き返すことで、自分の話すスピードや話し方の癖が客観視できます。
また、新郎に練習に付き合ってもらうのもいいでしょう。
当日涙が出たときに備えて、新郎に涙を拭ってもらう練習もしたという先輩花嫁さんも。
準備は万全にしておくに越したことはありません。
一生懸命書いた花嫁の手紙も、朗読の仕方次第ではうまく伝わらないことも・・・。
ここからは、花嫁さんの想いがしっかり伝わる朗読のポイントについてご紹介します。
練習の時から気をつけておけば、本番でも落ち着いて朗読できますよ。
花嫁の手紙を朗読するポイント①ゲストに丁寧にお礼を添える
花嫁の手紙を朗読する前後に、ゲストへのお礼の言葉を伝えましょう。
ゲストに向けたメッセージを述べるときは、ゲストに体を向けて、会場全体を見渡すように伝えます。
どうしても手前に着席しているゲストにばかり目線をやってしまいがちですが、会場の奥から手前に向けて、ゆっくりWを描くように目線を動かすようにしましょう。自然に会場全体に目線を送ることができます。
練習の時から、席次を見てゲストがいる姿を想像しながら、目線を動かすイメージをしておきましょう。
花嫁の手紙を朗読するポイント②目線を下げず、両親と目を合わせて
花嫁の手紙を朗読する際、文字を追うことに集中すると、どうしても目線が手元に落ちてしまいます。
せっかくの想いがしっかりと両親に伝わるよう、両親と目を合わせながら朗読しましょう。
とはいえ、目線を上げて手紙を見ずに、全て暗唱するのは難しいですよね。
ポイントは、一文の語尾の部分だけ顔を上げて目を合わせること。語尾だけでも目が合うと、しっかりと目を合わせている印象を与えます。
「ありがとうございます」や「幸せな家庭を築きます」など、特に強調したい部分は、語尾だけでなくフレーズ全体を通して、目線を上げて読むようにしましょう。
また、花嫁の手紙はよく写真に撮られるシーンでもあります。顔をあげるタイミングを作っておくと、写真映えもします。胸を張って立ち、手紙を持つ指先も揃えるよう練習しておきましょう。
花嫁の手紙を朗読するポイント③早口にならないように注意
花嫁の手紙は、ゆったりと落ち着いて朗読することが大切です。
早口になると、ゲストが聞き取りにくかったり、雰囲気が盛り上がらなかったり・・・もったいないですよね。
しかし、当日は想像以上に緊張してしまい、無意識に早口になってしまうものです。
花嫁の手紙を読む前には深呼吸をし、ゆったりとリラックスした気持ちで臨みましょう。
大げさなくらいゆっくり読むくらいがちょうどいいと言われています。練習の時から、「普段の2倍ゆっくり」を心掛けましょう。
また、句読点で一拍置くことを癖づけておくことも大切です。間を作ることで聞きやすさが増しますよ。
特に強調したい部分や盛り上がる部分は、よりゆっくり読むことで、抑揚がついて引き込まれます。
当日緊張して早口になっていたら、新郎にこっそり合図をしてもらうよう事前にお願いしておくのもいいでしょう。
素敵な花嫁の手紙で、周りに感謝を伝えよう
いかがでしたか?花嫁の手紙は、「書くこと」と「読むこと」の両方が揃ってようやく完成します。今回はその2点について、詳しく解説しました。
まずは難しく考えず、飾らない自分の言葉で自由に書いてみてください。
そこから注意すべきポイントを意識して修正していけば、自分らしく、かつ礼儀作法を押さえた手紙を書くことができます。
また、当日手紙の内容がしっかりと伝わるよう、朗読のポイントを意識して練習しておくことも大切です。当日緊張していても、事前に朗読するイメージがしっかりできていれば不安になることもありません。
花嫁の手紙は、準備が成功の鍵を握ります。時間をかけて準備し、余裕をもって当日を迎えましょう。ご両親やゲストの皆さまに、花嫁さんの想いが伝わる素敵な時間になりますよ。